ドラクエ1の勇者の出自
タイトル通りなのですがドラクエ1の冒頭は王様の一方的なセリフから始まりますので、それ以前の主人公のことに関しては完全に謎となってます。彼がロトの末裔なのは間違いないと言う前提でのおはなしですが、この勇者がどうやって勇者だと認められたのか、もしくはどうして勇者を自認するようになったのか、どういった経緯でラダトームの城に来たのかといった部分が、完全に謎となっておりますので、次回のドラクエ1リメイクでこの辺がはっきりわかるかもしれないと言う期待がありますが、ドラクエ1リメイク発売前に考察をしたいと思います。
*ドラクエ1の軽いネタバレを含みます
「おお (名前)! ゆうしゃロトの ちをひくものよ! そなたのくるのをまっておったぞ。」
「その むかし ゆうしゃロトが カミから ひかりのたまをさずかり まものたちをふうじこめたという。」
「しかし いずこともなくあらわれた あくまのけしん りゅうおうが そのたまを やみにとざしたのじゃ」
「このちに ふたたびへいわをっ!」
このような王様の一方的な台詞から始まるドラゴンクエスト1のこのオープニング。このセリフから考えられる設定を考察したいと思います。
当時の空気を知っている人間からすると、RPGと言うのは自分自身を投影するものと言う流れがあり。名前も当然自分の本名を入れるということが常識でした。なのでドラクエ1の冒頭の話は
「伝説の勇者ロト、なんとあなたがその末裔でした。そしてあなたはラダトームの王様の前に召喚されたのだ!」ぐらいの勢いだったと思うので背景もクソもなく今で言う一般的な異世界召喚です。その率直な部分をあえて無視してこの話を進めていることを理解いただければと思います。
ストーリー考察
まず王様のセリフですが、勇者ロトの血を引く当人に、 末裔なら常識として知っている勇者ロトのやったことを説明するのは何故か?
もちろんメタ的な意味でこの説明は必要あるので仕方ないですが、こういう台詞になった理由を考察してみると案外理解できる理由が推察できます。と言うのもきっとロトの末裔を自称する輩が大変多く、ひっきなしにやってくる自称ロトの末裔に王様も呆れて、半ば反応テストも兼ねて毎日このセリフを感情なしにオウムのように発言しているのでしょう。
そもそもこの時点で王女が攫われており、王様の精神状態は藁にも縋る思いのガッタガタ、そんな精神状態でロトの末裔を自称する輩の対応をしなければならないので、こんな感じになってしまったと考えることができます。
主人公もこの時点ではロトの印を持って無いのでロトの末裔だと証明する材料がなく、単にロトの末裔を自称している人物として扱われている可能性があります。
王様からの贈り物のショボさ的にも多分ロトの末裔を名乗る人間が何百人と来ているのでしょう。最初のうちは王様もテンション高い感じで鋼の剣とかあげてたと思うんですよ。でもどんどん戦死しちゃったり逃げちゃったりで、それで剣ですら無い棍棒しか支給できないのです。竜王軍との戦争でかなり疲弊していますしね。
そもそも「ロトの印」を持つものがロトの末裔であるとされているので、ドラクエ1の勇者はロトの印を手に入れるまでは自称ロトの痛いやつ扱いだったということが分かります。
ということでわかりやすくまとめてみましょう。
王様のセリフの背景
常識としての認識
王様がロトの末裔にロトの功績を説明するのは、物語の進行に必要な情報提供という側面が強いです。しかし、末裔であるならその歴史は知っているでしょうから、これは勇者を自称する者の反応を確かめるテストや確認の意味合いも含まれるかもしれません。
自称ロトの末裔の氾濫
多くの自称ロトの末裔が現れる中、王様のセリフは一種の慣習化された対応である可能性があります。毎日同じことを言うことで、真のロトの末裔を捜すためのフィルターとして機能しているかもしれません。王様も毎日こんな業務ばっかりやっているのでだいぶ参っているのでしょう。
王女の誘拐と精神状態
王女が攫われた状況は、王様の心を混乱させており、真の勇者が現れることを切実に望んでいるため、このような無感情な、あるいは自動的なセリフになってしまうことが理解できます。
勇者の立場
ロトの印の欠如
ロトの印を持たない主人公は、自称勇者として扱われるしかありません。これは、勇者の真の資格を証明する前に、冒険を通じてその価値を証明する必要があることを暗示しているのでしょう。
贈り物の質
装備として棍棒しか与えられないのは、王様がロトの末裔を名乗る者があまりにも多いため、特別な扱いをしないという現実的な対応と考えます。真の勇者であれば、自分の力で装備を手に入れることが期待されるのです。そもそもラダトームは竜王軍との戦争で疲弊していますし碌なものが残っていないギリギリの状態なのでしょう。
そんなドラクエ1主人公ですが、そもそもどうしてロトの末裔を自認するようになったのでしょうか?以下に可能性を羅列します。
主人公のバックグラウンド
育成の里
隠れ里で育つことで、主人公は幼い頃から勇者の使命を教え込まれ、ロトの末裔として自認する基盤ができていた可能性があります。主人公はドラクエ4の勇者と同様に、いわゆる「勇者育成の隠れ里」で育っており、幼い頃から勇者としての使命を聞かされながら育ったのかもしれません。
天啓や上の世界から召喚
ある日突然神から天啓を受けた。もしくは召喚された。突然の天啓や召喚は、主人公が自らの運命を自覚するきっかけとして非常に王道的なものです。
そもそも歴代先品の中でもドラクエ1は主人公がプレイヤー本人と言う色が最も強い作品なので、この主人公は我々の世界から異世界召喚されてドラクエ1の世界に現れた可能性も否定できないのです。今の異世界召喚者ブームのはるか昔にドラクエ1がそれをやっていたのだとしたら素敵ですね。
身体能力
身体能力が高すぎて、勇者を自認。卓越した能力は、自分が特別であるという自負を抱く理由となります。
上世界から落下
上の世界にいたロトの末裔がオルテガみたいにこちらの世界に落とされてきたと言う可能性は排除できません。ドラクエ3の勇者が上の世界に帰ったとしたら、上の世界にはいくらでも末裔がいるでしょうし。
小説版
ドラクエ1の小説版ではドムドーラの町で生まれ育ったアレフという15歳の少年は、あくまのきしが率いるドラゴン部隊によって町が滅ぼされた際、精霊ルビスの導きによりキメラのつばさの力を得て、ラダトーム近くの岩山に転移しました。そこで彼は鍛冶屋の夫婦に拾われ、育てられました。彼の名前「アレフ」はこの夫婦によって付けられ、古代アレフガルド語で「風」や「大地」を意味します。そしてアレフはロトの血筋たるゆきのふの末裔でもあります。
勇者として認められた経緯
アレフの誕生は、王の年、王の月、王の日に一致するという予言がなされていました。さらに、彼がラダトーム城の宝物庫にあったたいようのいしに選ばれたことで、彼がロトの子孫であることが明らかになります。この発見により、王からの依頼を受けて、アレフは竜王討伐の旅に出ることとなりました。
ドラクエ1リメイクへの期待
来年のリメイクでは、これらの背景や設定がさらに深化する可能性があります。例えば
ロトの末裔としての証明
ロトの印以外にも、他の証明方法や試練が追加されるかもしれません。例えば最序盤に行くロトが書いたとされる石板が置いてある「ロトの洞窟」がロトゆかりの場所として大きな役割を得るかもしれません。これもまたよくある設定として、謎の神秘的な力で石板の字は子孫しか読めない、みたいなのがあるだけでロトの末裔の証明になりますね。
新たなキャラクターとの関係
主人公がロトの末裔であることを認識するきっかけとして、新たなキャラクターが登場するかもしれません。ドラクエ1は従来通り一人旅になるのかも注目するべき部分でしょう。傭兵としてドラクエ4のロレンスとスコットのように雇えるNPCとかが出てくるかもしれませんね。
とても楽しみです
ドラクエ3リメイククリア後のテンションで色々と勝手な妄想的考察を致しましたが、きっと上記以外のあっと驚かされる理由があると思います。
来年のドラクエ1リメイクでは3リメイクを受けてどれぐらい深みが増しているのかとても楽しみです。