
大魔王ゾーマ
ドラゴンクエストIIIの大魔王ゾーマは、「全てを滅ぼす者」を自称し、アレフガルドを闇に閉ざした魔王です。彼の偉業の一つに、オリハルコン製の聖剣「王者の剣」を三年かけて破壊したと言うのがありますが、ビルダーズ2でも「耐久値が存在せず壊れない」とされるこの伝説の剣は、剣自身の光の力で傷を修復していると推測されます。そんなオリハルコンと光の加護に対抗するためゾーマが取った戦略を妄想したいと思い、このゾーマ様の血の滲むような努力を、物語に沿って紐解いていきたいと思います。

ゾーマ:闇の支配者とその野望
「絶望をすすり、憎しみを食らい、悲しみの涙で喉を潤す」と言われる存在のゾーマは他人の絶望や悲しみといった負の感情を力に変える大魔王です。人型かつ変身しないラスボスであり、闇の衣をまとった「闇ゾーマ」は圧倒的な力(例えばHD-2D版:HP13700、攻撃力480)を持っております。彼は精霊ルビスを石化させ、アレフガルドを征服しました。更に彼はロトの伝説をも根絶させるべく「王者の剣」を破壊を試み、FC版では粉々に、HD-2D版では真っ二つに折りました。ということはその気になれば、ブルーメタル製でより硬度の低い「ひかりのよろい」(ロトの鎧)ならもう少し簡単に壊せたと思いますが、それを無視するほど「王者の剣」が最大の脅威と判断したのでしょう。
「王者の剣」の強さ:オリハルコンと光の加護

ご存知「王者の剣」はオリハルコン製です。我々の世界には存在しないこの伝説の素材を、我々の世界に存在する金属の性質でわかりやすく例えましょう。
それはダイヤモンドのように硬く、チタンのように強い衝撃に耐える頑丈さを持ち、金のように錆びや劣化に強く、タングステンのように3422℃以上の高温でようやく溶けるレベルの素材と考えるとわかりやすいです。それに加えて剣自身に込められたの光の加護で傷を自動的に修復していると考えます。
さて、ゾーマは三年かけてようやくこの剣を破壊し、HD-2D版では「真っ二つ」に折りました。一つの武器の破壊に3年もかかったという事は、おそらくゾーマにとってアレフガルドを征服する以上の難関だったのではないかと考えます。
ゾーマの戦略:結界と破壊のサイクル
聖龍の加護の元に作られた聖剣である「王者の剣」を破壊するため、狡知に長けたゾーマは緻密に戦略を練ったことでしょう。これは当然ゾーマの持てる能力を全力で使わなければならないことを意味します。
まずゾーマは「マホカンタ」を全方向を囲む跳ね返る壁として展開し、魔法を増幅させる空間を作ろうとするではずです。この手法はアイテム物語の変化の杖の逸話でも登場しております。ここでは魔法の増幅に鏡を使用しておりましたが、マホカンタでも似たようなことができるというヒントにもなります。

まぁ闇の叡智を持つゾーマなので、王者の剣を魔法攻撃が延々と跳ね返るマホカンタの空間に閉じ込めるぐらいのことはやるだろうと容易に想像できるのです。
この結界は内部で魔法攻撃を跳ね返すため、ゾーマは極大真空魔法「バギクロス」や極大冷気魔法「マヒャド」を結界内に唱え、魔法の威力と密度と魔圧を高めつつ、更に魔法系統ではない為にマホカンタを通過するブレス系統の「かがやくいき」で結界の外から冷気を注ぎ込み内外から空間ごと凍らせます。剣が絶対零度近くまで冷却された瞬間に「いてつくはどう」で結界もろとも剣に込められた光の加護を無効化し、虚無状態となった一瞬の隙に「痛恨の一撃」を叩き込む、といったサイクルを三年間繰り返していたと考えます。これを更に各年ごとの戦略を妄想して楽しみたいと思います。
初年:結界の檻と剣の弱体化
ゾーマはまず、「マホカンタ」の結界で剣を完全に隔離しました。この跳ね返る壁に「バギクロス」を重ね掛けし、結界内を真空状態に。剣は急激に冷やされ、表面に微細な傷が生じます。さらに、「マヒャド」を注入し、「かがやくいき」を吹きかけて剣を絶対零度近くまで凍らせました。結界が魔法を閉じ込めるため、冷気は逃げず、剣は少しずつ脆くなり、ここでゾーマが攻撃力480の物理攻撃で殴ることの繰り返しにより、剣の切っ先に小さな亀裂が生まれ、最初の一年で剣の切れ味が一割ほど落ちたと考えます。光の加護による修復がまだ働いていましたが、ゾーマは執念で剣の回復力と同様以上の攻撃を加えて、剣をじわじわと追い詰め、とりわけ外部の分子構造にダメージを与えました。結界内の真空と冷気による絶対零度の攻撃はゾーマの冷酷な硬い闇の意志そのものです。
二年目:光の力を封じ、傷を深める
二年目、ゾーマは戦略を加速させます。一年目で剣の回復力の見当がついたので、そこから更に戦略的な破壊を行います。マホカンタの結界からの「バギクロス」重ね掛けで結界内を完全な真空状態に保ち、剣の内部に不安定な力を生み出し、更にマヒャドによって絶対零度近くにまで凍らせた剣に「いてつくはどう」を放ち、剣の光の加護を一時的に無効化して剣の修復能力を阻止すると同時に、凍てつく波動の振動により凍った剣の分子構造を緩ませ破壊します。壊れた分子構造の上にさらに「マヒャド」と「かがやくいき」を重ねてバラバラになった分子を凍らせて剣の回復と分子の再結合を防ぎ、回復を阻害します。この状態でゾーマは攻撃力480による「痛恨の一撃」を繰り出し、いよいよ剣に深い亀裂が刻まれタノでしょう。2年で剣の切れ味は7割にまでに低下し、光の加護は弱まり、いよいよ自己修復が追いつかなくなりました。
アレフガルドの闇と絶望が深まる中、ゾーマの攻撃は剣の耐久値と光の力をどんどん薄れさせていきます。
三年目:虚無の中での最終破壊
三年目、いよいよ破壊の最終段階となります。この2年間やってきたことを土台に、破壊計画の集大成としてゾーマは自分の身を顧みずに全力を尽くす戦略に出るはずです。
「魔力かくせい」で技の威力を最大化してから、全力の「いてつくはどう」の重ね掛けで結界と光の加護を完全に無効化し、剣を虚無状態と更に高振動状態に置き。「バギクロス」を重ね掛けして真空を維持し、マヒャドと輝く息を何度も放ち、剣のオリハルコン分子の動きを完全にストップさせ、力を溜めに溜めた「痛恨の一撃」によるクリティカルヒットを叩き込み、ついに剣を真っ二つにしたのでしょう。
折れる直前の剣の切れ味は当初の6割まで落ちたと予想します。
ゾーマの「破壊こそが真理」みたいな言葉が響く中、剣は砕け折れ、ロトの伝説が終了したかに見えたことでしょう。虚無状態にしてからの一撃は、ゾーマの狡知で冷酷な闇の力を象徴しています。
ゾーマの執念の源泉
この戦略には膨大な魔力が必要でした。「マホカンタ」の結界維持、魔力の覚醒、魔法の注入、「バギクロス」や冷気呪文の重ね掛け、「いてつくはどう」と「痛恨の一撃」の気が遠くなるほどの繰り返しです。おそらくゾーマは自らの寿命を縮めるほどの努力をしたことでしょう。
また、剣を破壊する膨大な魔力を得るため、ゾーマは闇の結界でアレフガルドの人々の絶望や憎しみを吸収して、魔力を補充しました。この力がなければ、この努力を三年間持続させるのは不可能だったでしょう。
ゾーマの狡知と涙ぐましい努力が、剣の硬さと光の力を打ち破ったのです。しかもアレフガルドの人々から吸い上げた絶望の力で行いました。魔の大勝利だったのです。
ゾーマの誤算
そのため、ゾーマにとって王者の剣の復活はものすごく想定外でした。まさか伝説のガイアのハンマーがジパングに存在しており、それをアレフガルドに持ってくるやつがいるとは思わなかったでしょう。どこからともなくドムドーラにオリハルコンが落ちていたことも大きな誤算でした。そして、何より詰めが甘かったのは、折れた王者の剣を人類の手に渡らせたことです。折れた剣が人類にわたった経緯として考えられるのは、ゾーマが人の絶望感を煽るために自ら折れた剣を人類に返した可能性があります。絶望を糧とするゾーマなので、折れた剣を人類に見せることで得られる絶望は誠に美味だったことでしょう。その美味しい絶望に惹かれてしまったことで自ら墓穴をほってしまった可能性があるのです。つまりゾーマの絶望に対する食いしん坊さのせいなのです。とは言え、その絶望を得たおかげで、ゾーマ自身が剣を破壊するのに使った力を補ってあまりある魔力を手にしたと考えることも可能です。王者の剣を折った直後のゾーマは案外満身創痍だったかもしれないと思うと面白いですね。
結論
ゾーマはアレフガルドの人々の絶望を魔力として吸収しつつ、「マホカンタ」の結界に攻撃魔法を注入し、密度を高めて破壊力を増強。「バギクロス」と極大冷気呪文で剣を絶対零度まで凍らせ、「いてつくはどう」で光の加護の無効化及び分子構造を緩ませ「痛恨の一撃」で砕くという流れで、順番や組み合わせを変えながら、剣を破壊する戦略を練り直しつつ繰り返していたと考えます。この三年に渡る執念によりオリハルコンの光の加護が打ち破られたため、修復後の経年劣化などで「ドラゴンクエストI」以降の「ロトの剣」があっさり弱体化した理由に繋がります。王者の剣を破壊すると言うゾーマの知略はその後のドラクエの物語にも影響を与えているのです。
ゾーマの戦略についてどう思いますか? 皆様の考察をコメントで教えてください! 次の記事では、この破壊が後の剣にどう影響したかを探ります。







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